茨木工科高校ブログ

卒業式 式辞を掲載いたします。

2017-03-03
校長室だより ここに科学の力あり

■ 卒業式 式辞(3月1日)■

ただ今、卒業生238名に卒業証書を授与いたしました。まずは、この記念すべき日に、同窓会会長 本津茂樹様をはじめ、多くのご来賓の皆さまにご臨席いただきましたことに、高いところからではございますが、深く感謝を申し上げます。
また、保護者の皆さまにおかれましては、高校生と言う多感な時期を送るお子様に、ある時は厳しく、ある時は暖かく寄り添いながら、一緒に乗り越えてこられた三年間であったと思います。立派に成長したお子様が新たな旅立ちを迎える今日、さまざまな思い出が駆け巡り、「感慨無量の思い」であると拝察をいたします。 担任団をはじめ、教職員一同、心からお喜び申し上げますとともに、この間、本校の教育にご理解、ご協力をいただきましたことに深く感謝を申し上げます。

さて、卒業生の皆さん。ご卒業おめでとうございます。高校生活を振り返れば、様々な出来事が、走馬灯のように思い出されることでしょう。茨木工科高校での生活は決して楽しいことばかりではなかったと思います。レポート提出や口頭試問、資格や検定に向けた講習、さらに、三年生になってからは、就職に向けた面接指導や進学に向けた受験勉強に苦労をした人、また、親や友人と考えが合わずぶつかり、悩んだ人も多いと思います。これらの経験を通して、皆さんは一歩一歩成長し、つけた力は進路実現へと繋がりました。
また、多くの思い出もできました。クラスが団結し、成功に導いた体育祭や文化祭、民泊を通して現地の方と触れ合った沖縄での修学旅行、仲間とともに一つの目的に向かって努力、工夫を重ねたクラブ活動など、皆さんにとっては、かけがえのない財産になるでしょう。
しかし、もっと大きな財産。それは、皆さんが、授業で身に着けた、専門的な知識や技術、そして生活指導から学んだ「挨拶」や「ルールを守る」といった力です。
卒業生の皆さんには、この「工業高校ならではの力」を基に、四月からの新しいステージで、おおいに活躍をして欲しいと願っています。

さて、今日は、新たな世界に羽ばたく皆さんに、はなむけの言葉として、「これからの社会を生きぬいていく」うえで大切なことを二つ、話したいと思います。
まず一つめは、皆さんが生きていくこれからの時代においては、「人間だからこそできること」言い方を変えれば、「人間にしかできないこと」それができる人材が必要とされるようになってくるということです。
今、社会はもの凄いスピードで進化し続けています。
以前は店に行かないと買えなかったものが、ネットショップで簡単に買うことができる。もしかしたら将来、 物を販売する店がなくなる時代が、来るかも知れません。自動車が、自動運転で走行し、運転手がいらなくなる時代もそう遠くなさそうです。イギリスの大学でまとめられた調査によると、今後、十年から二十年後には、今ある職業の半分近くは、人工知能とロボットが代わりをするようになり、人の職業はどんどん減ってくるだろうと予測されています。
皆さんが高校時代に身に付けた「ものづくり」の基本的な知識と技能は、とても重要な能力の一つであり、今後も社会から必要とされ、大切にされていくものであることは間違いありません。しかし、これからの時代を生きぬいていくためには、それに加え、「人だからできること」、言い換えるとするならば「ロボットにはできないこと」ができる力が必要になってくるのです。
たとえば、「人が喜ぶもの、必要なものは何かを考えて、より良い製品を考えること」また、「仲間のみんなと知恵を出し合い、協力してなにかをすること」、あるいは「自分が作った製品の良さを表現したり、わかりやすく説明したりすること」などは、ロボットにはできません。人間は、人工知能やロボットにはできない素晴らしい能力をもっています。皆さんには是非とも、将来の仕事や生活において、プログラムされたことしかできない「ロボット」ではなく、自分の力で物を考え、判断し、表現できる人材になって欲しいと思います。
大切なことの二つめ。それは、常に将来に夢を持ち、その実現に向け、ゆっくりでも良いのでコツコツと自分の力で前に進むことです。
もうすぐ春がきます。春になると桜の花が一年に一度の美しい花を咲かせます。その美しさゆえ、木の周りには多くの人が集まり、桜の木は主人公になります。しかし、やがて花びらが散ると、人々は気にも留めなくなる。
しかし桜が、次の年にまた美しく咲くことができるのは、見向きもされない暑い夏も寒い冬も、しっかりと根を伸ばし、踏ん張りながらも春を待っているからです。
皆さんも、これから進学したり、就職したりする中で、うまくいくことばかりではありません。むしろ、最初はうまくいかない事の方が多いと思います。
しかし、決して逃げることなく、目標に向かって、目の前のハードルを自分の力で一つひとつ超えていけば必ず夢は叶うはずです。
壁にぶつかった時、自分自身の弱い面、欠点ばかりに目をやり、「自分には無理」と決めつけるのではなく、自分の力を信じ、自分の得意なところを活かして「自分ならできる」という前向きな考えで乗り切ってください。

終わりになりましたが、本日、ご列席いただきました
ご来賓の皆様、保護者の皆様に重ねてお礼を申しあげますとともに、今後とも本校教育にご理解ご協力を賜りますようよろしくお願いします。
卒業生の皆さん。
今後、就職、進学とそれぞれの道を歩むことになりますが、どのようなステージにおいても、茨木工科高校の卒業生であるという誇り、高い志を持って活躍してください。
君たちの活躍をお祈りして、式辞といたします。

平成29年3月1日
大阪府立茨木工科高等学校
校長 田 尻  肇

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