2学期始業式の講話を掲載いたします。
校長室だより ここに科学の力あり
<2学期始業式式辞 (8月30日)>
夏休みが終わり、いよいよ2学期が始まりました。まず、なによりも嬉しいことは、全ての生徒が無事に夏休みを過ごし、始業式を迎えることができたことです。新聞やテレビの報道で知っている人も多いと思いますが、8月10日に皆さんと同じ高校生が、友人と奈良県の吉野川に遊びに行き、対岸に渡ろうとして川に流され命を落とすという事故が起こりました。また先日は、りんくうの海岸で海に飛び込んだ高校生が溺れ、助けようとした友人も含め2名の尊い命が失われるという痛ましい事故も起こりました。「大丈夫」と思う一瞬の判断の過ちが大きな事故につながる事があります。川の流れも表面上はまっすぐ流れているように見えても、水が川底に向かって対流している場所があり、流れに引き込まれると自力での脱出が難しいそうです。生徒の皆さんにはくれぐれも「その場の乗り」や「勢い」で危険な行動をとることのないよう心がけてください。「命」より大切なものはありません。自らの命を自らで守る力を持って欲しいと思います。
さて話は変わりますが、この夏休み、部活の試合を見に行くなど皆さんの頑張っている姿を見てきました。その中でも思い出に残ったのは、7月20日~23日に茨木市中央図書館において開催された「茨木工科高校文化部作品展」です。鉄道研究部、美術部、漫研、SST、機械研究部などの作品が展示され、小さな子供から高齢者の方まで多くの方が来場しました。小学生のこどもたちは実際に鉄道研究部のジオラマを操作したり、機械研究部のエコカーに乗車したり、ロボット相撲を体験したりして楽しんでいました。来場した子供たちに本校の生徒が丁寧に対応している姿は本当に頼もしく映るとともに、文化部の活躍を地域の方々に知っていただくことに喜びを感じました。このイベントの様子や部活動の活躍についてはホームページにアップしています。最近はできる限り皆さんの元気な姿をアップしていこうと更新をまめにしているので、皆さんも是非本校のホームページを見てください。来る9月3日、次の日曜日には、上中条青少年センター、別名川端康成記念館において、「茨木工科展」を開催し、本校の素晴らしい取り組みを地域の小中学生をはじめ地元の方々に大きくアピールしようと考えています。このような取り組みを通じ、皆さんが入学し、そして現在高校生活を送り、また卒業した後も母校となるこの「茨木工科高校」がより一層地域に愛される、誇り高い学校になればと思っています。ぜひとも皆の力で、このイベントを成功させましょう。
さて今日は、生徒の皆さん、中でもとりわけこの2学期進路実現に向けた大きなチャレンジをする3年生に、一つのことわざを紹介したいと思います。それは「馬を水飲み場まで連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない。」という言葉です。このことわざの持つ意味はわかりますか?
「喉が渇いている馬に水を飲ませてあげようと思い、水飲み場まで連れて行くことはできる。しかし、最終的に水を飲むかどうかは馬自身が判断することであり、人が飲ませることができない」というこの
イギリスで生まれたことわざは「周りの人ができる支援、応援、協力などには限りがあって、最終的に行動を決めるのは本人の意思である」ことを教えてくれています。
3年生の多くは、この2学期進路実現に向けて就職試験を受けます。受験に際しては様々な先生や保護者が指導、支援をしてくれます。しかし、最終的に受験を左右するのは自分自身の意思に他なりません。
これからの社会を生きていく上で必要とされている「主体性」とは、様々な事を「自分事」と考える力です。当然のことですが、就職するのは先生でもなく保護者でもなく生徒の皆さん自身です。
授業も同じです。座学や実習において、どれだけ先生が熱心に教えても、受ける側の「もっといろいろな事を知りたい」「もっとできるようになりたい」という向上心がないと、目の前に準備された水を飲まないのと同じで、教えられたことが身につくことはありません。それどころか、やる気がない状態で授業を受けることは、飲みたくない水を無理やり口に入れられるのと同じで、どんどん勉強がいやになり、面白くなくなる。まさに、悪循環です。一方、自分自身の成長に夢を描き、できる喜びや知る楽しさを感じながら取り組む人は、様々な試練も意欲を持って乗り越えていきます。例えば、この夏甲子園で開催された高校野球を観戦した人も多いと思いますが、地方大会を勝ち抜き憧れの甲子園出場を果たした球児の姿は本当に晴れやかで、他人からはうらやましく映ります。しかし、その裏には、いままでのとてつもない苦労や頑張りがあったはずです。それを乗り越えられたのは、彼らの根底に「上手くなりたい」「勝ちたい」「甲子園に行きたい」という強い思いがあったからです。
良い循環になるか悪い循環になるかは、自分自身の考え方捉え方ひとつです。学校の指導が自分自身の成長に繋がるという考えを持つことができれば、高校生活が前向きなものになります。授業中寝ていたり私語をしたりして、授業を聞かないことで損をするのは自分自身であるし、遅刻、身だしなみ、挨拶など「社会で必要な力」を身につけずに社会に出て困るのも自分自身です。会社には遅刻指導や身だしなみ違反カードはありません。
ペナルティーがあるからでななく、大切なのは、「なぜ必要なのか」ということを自分自身で考える力です。ぜひこの高校生活で、卒業後の人生を幸せに生きていくことのできる本当の力を付けて欲しいと思います。就職試験、大学入試、また、文化祭、修学旅行など大きな行事がある2学期が始まります。皆さんの活躍を大いに期待し、始業式の式辞とします。