茨木工科高校ブログ

校長室だより 第78号を掲載しました

2016-03-02
校長室だより 第78号 ここに科学の力あり

■第9回卒業証書授与式 式辞■

 学校の中庭の梅も紅白の花を咲かせ、春の息吹きを確かに感じさせる今日のよき日に、同窓会会長 本津茂樹様、茨木市立西中学校校長田中義明様をはじめ多数のご来賓並びに、保護者の皆様のご出席を賜り、ここに大阪府立茨木工科高等学校第九回卒業証書授与式を、盛大に行うことができますことを心よりお礼申しあげます。
 本日、ここに193名の皆さんが、本校の課程を終了し卒業する運びとなりました。
 卒業生の皆さん、茨木工科高校の3年間の生活はどのようなものだったでしょうか。
 期待と不安が入り混じる桜の下での入学式、工業高校特有の実習・実験、それに続くレポート提出や口頭試問、体育祭や文化祭等の行事、スキー・スノーボードを満喫した修学旅行、部活動、そして就職、大学進学等の進路決定のための試験、資格取得のための早朝や休日の講習、さまざまな思い出が駆け巡り、感慨無量の思いであると思います。
 ご列席の保護者の皆様方、お子さまの晴れやかな旅立ちを前に、感慨もひとしおのことと拝察いたします。3年間なにかと気苦労が多かったと思いますが、本日このように立派に卒業されました。心からお慶び申しあげます。
 今日は、勉強に部活動・資格取得等に一生懸命努力した人も、ほどほどに三年間を送った人も、また、途中で学校をやめたくなり、思いとどまった人もめでたく3年間の課程を終えて卒業です。193人めいめいの学校生活への思いがあると思いますが、この茨木工科高校で共に笑い共に苦しみ成長してきた事実を忘れないでください。皆さんがこの3年間で成長したことを先生方や保護者の皆様と一緒にお祝いしたいと思います。

 さて、今日は、皆さんの新たな門出にあたり、はなむけの言葉として、二つのことをお話したいと思います。
 一つ目は、校長として式辞を述べるのは4回目になりますが、過去3回の式辞でも繰り返しお話していることです。工業科の高校を卒業する皆さんにどうしても伝えたいことですので、今年もお話しします。
 皆さんが生きる21世紀は、今、凄まじいとも言えるスピードで高度情報化とグローバル化が進行しています。
 このような時代を切り拓いていくために皆さんに求められるものは何でしょうか。近年、耳にすることが多い「グローバル社会でのリーダーシップ」でしょうか。また、「語学力」や「コミュニケーション能力」などでしょうか。
 私はそれらの能力も当然必要で、大切だと思いますが、皆さんが、この茨木工科高校で3年間で学んだ「ものづくり」の基本的な知識と技能は、とても重要な能力の一つであり、今後も必ず社会から必要とされ、大切にされていくものであると確信しています。
 工科高校の「工」は「たくみ」とも読みます。「たくみ」の誇りと技術こそが日本の製造業の強み、言い換えれば日本という国の強みなのです。
 英語訳の卒業証明書を申請される卒業生が毎年20名、多い年では30名近くおられることに象徴されるように、茨木工業・工科高校の卒業生は、国内はもとより世界中で活躍しています。
 皆さんは今日、茨木工科高校から巣立ち、就職、進学とそれぞれの道を歩むことになります。今後「ものづくり」の現場で仕事をする人もいれば、「ものづくり」の現場とは違ったところで働く人もいるでしょう。どのような分野で仕事につくにしても、工業高校の卒業生であるという誇り、そして高い志を持って、世界中で活躍する先輩に続いて欲しいと願っています。

 二つ目です。
 私は、平成十年に理科の教員として本校に赴任して以来18年、今年度末で定年退職いたします。最後の式辞に何をお話しようか、随分、迷いましたが、日頃から繰り返しみなさんにお話してきたことを最後にもう一度お話ししたいと思います。
 いつものABCDの法則です。
 A(当たり前のことを)B(馬鹿にせず)C(ちゃんとできる人)がほんとうにD(できる人)です。この法則を常に忘れないでいて欲しいと思います。あいさつが当たり前のことの最も重要な行動の一つであることも繰り返し、話してきました。元気に挨拶できる生徒が増えてきたことを実感し、嬉しく思っています。
 今日は、卒業式ですので、このABCDの法則を少し表現を変えてみなさんに紹介し、はなむけの言葉にしたいと思います。あまり知られていませんが、フランスの経済学者、レオン・ワルラスの言葉です。
 「静かに行く者は、すこやかに行く。すこやかに行くものは、遠くまで行く。」
 「ごく素直にぼちぼち歩けばいい。また、ぼちぼちだからこそ長く歩き続けられる。奇をてらわず、当たり前のことをしっかりやってゆくことが、結局、成功につながってゆく。」という意味だと私なりに解釈しています。
 繰り返します。
 「静かに行く者は、すこやかに行く。すこやかに行くものは、遠くまで行く。」
 終わりになりましたが、本日、ご列席いただきましたご来賓の皆様、保護者の皆様に重ねてお礼を申しあげますとともに、3年間にわたって学校に賜りましたご理解とご協力に深く感謝いたします。
 卒業生の皆さん、お別れです。体に気をつけて、それぞれの道を、目標に向かって一歩ずつ、周囲とよい人間関係を築きながら前進してください。君たちの限りない発展と今後の活躍をお祈りして、式辞といたします。

                                  平成28年3月2日
                               大阪府立茨木工科高等学校
                                  校長 辻井 安喜

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